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ドリフとツヨシとエナドリと。  コロナ禍1年

高橋宏和(H4卒)
date:2021/1/21

SNSの「1年前の投稿」表示が、新型コロナのパンデミックが世界に影響を及ぼしてから一年が経過したことを告げた。1年前、友人I氏が猛烈な勢いで警鐘を鳴らしていて、中国発のニュースを片端から訳してシェアし、「世界的な感染爆発が起きるかもしれない!」と教えてくれていた。



正直、はじめのうちはぼくを含めた日本(というか世界といっていいだろう)は新型コロナ爆発の恐ろしさに全く気づいていなかった。

「世界にはまだまだ未知の感染症があるんだなあ。中国の人は大変だ」くらいの温度感だった。己の不明を恥じるばかりである。



コロナ感染爆発から1年も経ったというべきか、1年しか経っていないというべきか。本当に、新型コロナが全てを変えてしまった。



2021年1月21日時点で、世界中でのコロナによる死亡者は207万人を超えたという。そのそれぞれに家族がいて友人がいて、どれだけ多くの苦しみがあり、どれだけ多くの涙が流されたことか。

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

経済の大打撃もしんどい。銀座の一等地の商業ビルでさえ、閉店や休業が相次ぐ。



https://ginza6.tokyo/news/76177



先が見えない状況が続く。



新しいウイルスが見つかってたったの一年でワクチンが完成し接種が始まっているのはまさに人類の叡智で、驚嘆すべきスピードだ。一日も早くワクチンを打ちたいと願うばかりだが、早くも反ワクチンの言説が世に現れ始めた。人類の叡智と、救い難さとを今日も同時に目の当たりにする。

コロナ疲れを体の芯に感じながら、それでも今日も日は昇る。

you know,「息の仕方を覚えてるだけで奇跡だぜ」。

TVショウを観ると年末年始も人出は多かったようだし、これだけ「密」を避けようといっているのに成人式を行った自治体もある。「密」ができればコロナ爆増する。結果、普段なら助かるはずの命も失われている。

気疲れと虚しさでちょっとしんどくなって、昔のことを思い出すことも多い。

動画サイトで子どものころ見たドリフターズの歌を漁ったり、自分が中学・高校生だった80年代~90年代の長渕剛の昔のCDなんか取り寄せてみて聴いたりなんかしている。今まで飲むことのなかったエナジードリンクを飲んでみたりもする。どうやら我ながら元気いっぱいというわけではなさそうだ。

全面的に、後ろ向きな気分にとらわれている。だが、生き抜くことが、生き抜くことだけが大事で、あとは些事だ。だから、後ろ向きになってもいいことにしよう。

ピアニストが出てくる映画を観たことがある。映画のラストシーンをいつも思い出す。

映画の最後に主人公はたしかこう言っていた。

「well,well,well,life goes on…」。人生は続く。



コロナ禍にエンドマークは出ず、マスクとソーシャルディスタンスの日常は続いていく。Life goes on.

『カエル先生・高橋宏和ブログ』2021年1月9日、20日を加筆再掲