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コロナ禍とアイン・ランド『肩をすくめるアトラス』

高橋宏和(H4卒)
date:2022/1/19

世界はふたつに分けられる。
ぶつくさ文句を言いつつも問題解決に関わろうとする者たちと、文句だけ言っていれば誰かがどうにかしてくれると思っている者と。
 
アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(“Atlas Shrugged”)の主題の一つはたぶんそれで、少なくともぼくはそう読んだ。
小説の中で「ワシントンのたかり屋たち」と呼ばれる後者の人々にうんざりして、企業家たちに代表される前者の人々はある日こつぜんと姿を消す。途端に世の中は、回らなくなる。
小説の中では、この「問題解決に関わろうとする者たち」と「誰かがどうにかしてくれると思っている者たち」というのは職域や立場や地位に関わらず存在していて、止まってしまった鉄道を動かすために立場を越えて前者の人たちが力を合わせて再開通させるシーンなどは感動的だ。
 
コロナ関連で残念な感じになってしまった小林よしのり氏だが、氏の著作で学んだ一つに「与党精神」というのがある。声高に現状を批判だけするのではなく、俺がやるという与党の精神ということだ。
「問題解決に関わろうとする者たち」というのは、この、俺がやるという与党精神を持った人たちといえるかもしれない。
 
実際には『肩をすくめるアトラス』のように綺麗に二者に分かれるわけではなく、多くの人の心に「ここは俺がやらなきゃ」という前者の部分と、「誰かがなんとかしてくれるだろ」という後者の部分が混在している。グラデュエーションもありますしね。
ネットばっかりやっているのが悪いのだが、ネット上でコロナ対応とかで批判や文句ばっかりしてれば誰かがなんとかしてくれるとタカをくくっている人たちをみるとつぶやきたくもなるものだ。Who is John Galt?
 
まあ世の中助け合いだしお互いさまで、たまたまコロナ禍で医療の出番が多くなってるだけではある。反ワクチンみたいな人に叩かれると疲れるけども。寒いし第6波きつそうだし許されるならアパラチア山脈の奥地で隠れ住みたいとこだけど。
 
というわけでぶつくさ文句も言うし下手な冗談も飛ばすし、それでも頑張って社会の持ち場で実務を回してまいりましょう。

〈荒野を走れ どこまでも 冗談を飛ばしながらも〉(B’z『RUN』)がテーマソングですね。がんばっていきましょう。

『カエル先生・高橋宏和ブログ』2022年1月8日を加筆修正)