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どうすれば土地を安く買えるのか(後編)

向井 一郎
date:2021/11/23

前回からの続きです。(第5回)

「アタリの土地は市場に出てこない」・・・その理由です。



土地購入で大事な要素の一つ、取引方法について。

 

これは最近、ネット記事などでもよく見る様になりましたが、

両手取引に拘る不動産業者が多い

です。大手業者はほとんどそうです。

 

ある不動産業者が「土地を売りたい」という相談を受けたとします。

専属専任契約を結んだ場合には、「広く広告」をして、買い手を探す義務があるのですが、買い手を別の不動産業者が連れて来たら自分の取り分は土地価格の3%だけ。

 

買い手を自分で見付けてくれば、買い手からも3%を貰えるので報酬は2倍になる!

 

ということで、売主を騙して、広告をしない・・・もしくは、広告をしても他社からの問い合わせには全て「もう申し込みが入りました」と虚偽説明をして、売ろうとしないのです。

この、「1社で双方から手数料を受け取る形態」を「両手取引」と言います。

 

実情はこれよりさらに酷くて、誰が見ても良い土地と分かる物件が来た時には、

大手不動産業者は子飼いの「転売屋」にだけ土地情報を流し、そこに超格安に買い取らせます。

売主には「このチャンスを逃すと、いつまで経っても売れませんよ」などと騙して、です。

 

この取引形態の場合、土地の仲介を任された不動産会社は、

土地の売主と転売屋との契約で、土地価格の6%。

転売屋が利益を載せて再販するときの契約で土地契約の6%。

合計して、土地値の12%もの報酬を受け取ることが出来るのです。

 

 

昨今、良い条件の土地は大抵が、この手法で売却されています。

エンドユーザーが購入可能になるのは転売屋がたっぷり利益を載せ、不動産業者がたっぷり報酬を得た後の「割高な土地」です。

この「転売屋に渡ってしまう土地」には手が出せません。

 

しかしながら、この事実を知っていれば、転売屋が欲しがる様な好条件の土地は無理にしても、

それ以外の土地(つまり、不動産業者が良い土地と見抜けない土地)については、エンドユーザーであっても、

「両手取引に拘る不動産業者」に直接訪問することで、大幅値引きを引き出せる場合があります。

 

不動産業者は「このチャンスを掴めば、土地値が少し安くなっても報酬6%。」

「このチャンスを逃して、他の不動産屋が連れて来る客に売るとなると、土地自体は数百万円高く売れるものの報酬は3%。」と考えます。

 

依頼者の利益を考えれば後者を選択するべきですが、実際に後者を選択する不動産屋はほとんどいません。少なくとも大手に限れば皆無でしょう。

「依頼者を騙してでも自分達が利益を得よう」と考える人間がいるのです。

その人間の思惑を叶えることで、土地は安く買えることになります。

 

 

逆から見て、大事なことを一点。

不動産(土地やマンションなど)を売却する際には、「まず自分は騙されるもの」と思って、ことに臨んでください。

 

信頼のおける不動産屋の友人を持ちましょう。できれば、その友人に不動産売買は任せるべきです。

その人脈がなく、どうしても有名どころの大手に頼む・・・というのであれば、依頼した後に「本当に広告をしているのか」を自分の目で確かめるべきです。

虚偽報告をしていることが一度でも分かればすぐに解約しましょう。

ちなみに国土交通省や警察は動きませんので被害に遭っても通報する先はありません。

(明確な証拠を揃えて通報した団体があったそうですが何も変わらなかったとのこと)

 

 

つまらない喧嘩をすることを考えず、私たちは「騙されないこと」にだけ専念しましょう。

いつか、私たちの方が彼らよりも情報強者になれば、自然と悪者は滅びるはずです。