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とある街場の感染対策ーコロナ禍の医療機関

高橋宏和(H4卒)
date:2020/12/16

平成4年卒の高橋宏和です。ふだんは生まれ故郷の千葉県で『中條医院』(船橋市)という内科・神経内科のクリニックを運営しています。

12月13日(日曜)は中條医院で日曜診療を行いました。

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、立っている人、室内

2020年コロナ禍の年の、とある街場の医療機関の日曜日の様子を日記風にお送りします。

【朝7時30分】

本日は日曜診療の当番日なので自分にログインボーナスを。

画像に含まれている可能性があるもの:飲み物、食べ物
うちのクリニックのある船橋市では、医師会所属の医療機関に医師会本部での夜間診療当番とはまた別にこの日曜祭日の当番医のdutyが回ってきます。
ふだんの診療と違い、この日曜診療では発熱や咳、風邪のかたの受診がメインなので少々気が重い…。
夜明けのマックでは夜通し遊んだ酔客が大声で飛沫を飛ばしまくっていますが、それはそれとして、心に炎を燃やして、俺は俺の責務を全うする!





【朝8時30分 診療準備】
 
感染拡大予防しながら診療開始です。
まずは入り口(クリニック外)での手指消毒とサーモグラフィーによる体温・マスク着用チェック。
発熱、咳のひどい方は車でお待ちいただくか別室案内。

画像に含まれている可能性があるもの:電話


【9時 診療開始】
入り口は開けっ放しで常時換気。エアコンをフルパワーでかけながらの換気で、寒いけどしかたない。
換気の重要性はナイチンゲール先生も『看護覚書』で強調してますね。

写真の説明はありません。
車の中など診療所外で待てるように呼び出し機は10台準備。
写真の説明はありません。
【9時30分】

例年だとインフルエンザや溶連菌は簡易検査して確かめるんですが、検査時の飛沫感染を避けるため今季は検査は省略。
問診をスピーディーに行いクリニック内滞在を短くするため問診票を活用。
(医療の本来的にはいいことではないですが)問診項目を根拠に、システマチックかつパターン化された処方になる予定。
 
写真の説明はありません。
問診票用のボードやペンは使いまわさず一週間放置の上、消毒。
紙やプラスチックの上でもウイルスは一定期間生きているはずなので。
今日のためにボードとペンを大量に買い込みました。
写真の説明はありません。
受け取った問診票はクリニック内ではビニール袋に入れて持ち運び。持ち運びは最小に。
ウイルスは接触により広がります。
写真の説明はありません。
診察券や保険証の受け渡しはファイルに入れて行います。
もちろんファイルは使いまわしません。
写真の説明はありません。
自動精算機も導入済み。
紙幣を介しての感染拡大リスクも最小限に。
画像に含まれている可能性があるもの:室内
【10時 発熱者診療】
発熱者用の別室に診察に行ってきます。
もちろんこのフェイスシールドとガウン、マスク、手袋も使い捨てです。
画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、立っている人、室内
【10時30分 処方、お会計】
問診は極力電話で行い、問診項目によって処方箋を作成、あらかじめ会計計算を済ませて診察、処方箋受け渡しと会計を一度に行います(プライバシー保護のため診察券等は裏返して撮影)。
 
患者さんと物理的に接触するのはマスクやガウン装着した医師のみになります。
受け取った紙幣はビニール袋に入れ消毒した上で数日放置してから処理します。仮にコロナウイルスが付着している場合、紙幣の上でも数日はウイルスが生きているはずだからです。
写真の説明はありません。
これを患者さんが来るたびに延々繰り返します。
 
 
【利益相反開示】
自動精算機の導入等は、『医療機関・薬局等における感染拡大等の支援』制度の補助金で一部を補いました。入院施設の無い当クリニックは血税より100万円が補助されています。
自動精算機300万円弱、自動精算機を置くための窓口拡張および室内貼り替え工事70万、サーモフグラフィ30万円弱、自動呼出し機25万円弱なので正直足が出ていますが、本当に助かっています。
納税者の皆様(ぼくも納税してますが)や制度設立・運営にご尽力くださっている関係者の方々に感謝を込めてご報告。
 
厚生労働省「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」
 
【17時 日曜診療終了】
12月13日日曜日はそれほど混雑もなく、落ち着いた診療でした。
一昨年は一日に75名ほどの受診があり、9割以上インフルエンザでした。
 
無事に日曜診療終了しました。明日からまた通常診療なので、先週月曜日からの13連勤の折り返し地点です。
 
今回細かくアップしたのは「オレ頑張ってる」アピールしたいわけではなく、感染拡大予防対策の外部評価的なチェック目的とともに、医療者のありのままの内情をお伝えしたかったからです。
 
うちのクリニックは入院や救急の診療もなく、当番日の夕方までという期間限定の初期診療ですが、それでもスタッフみな非常に気疲れしました。
「いま診ている患者さんがコロナかもしれない」という心的ストレス、プレッシャーはなかなかにしんどいものです。
 
先の見えない中、ひっきりなしに運ばれてくる救急患者を診療し、急変に対応している病院の医療者の方々のご負担は想像を絶するものがあります。
いまこの瞬間、今晩も世界中で医療者がコロナとたたかっています。それぞれに家族がいて、未来があります。
 
どうか年末年始、ハメを外さず「三密」を避け、身も心も穏やかにお過ごしください。
医療者をはじめとするエッセンシャルワーカーに、理解とひとかけらの敬意を。
早くこのコロナ禍が収束しますように。病いと闘う患者さんと家族に愛を。
ちょっと早いですが、ハッピー・クリスマス。