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みんなのためにこんなに頑張っているのに誰もわかってくれない、と思い始めたら。

高橋宏和(H4卒)
date:2020/3/16

はるぞうさんによる写真ACからの写真



「まあでも結局、自分が好きで始めたことだからな」

ココロのバランスを取る、魔法の言葉である。



生きているといろんなことがある。

良かれと思って始めたことも、思わぬ批判に苦しむこともある。

みんなのためにこんなに頑張ってるのに、誰もわかってくれない、なんて思い始めたら実は危険なサインだ。

心の変調をきたして自己嫌悪の蟻地獄にはまり込むか、全ての人を敵視して恨みつらみに身を焼くか、はたまたカルト教団の入り口か。アルテイシア氏の表現を借りれば、メンがヘラる。

そんな地獄の入り口に立ってしまったら、前述のマジックワードを唱えることをお勧めする。

まあでも結局、自分の好きで始めたことだからな。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、当面の間、触診や聴診、採血などの接触を伴う処置は最小限にさせていただきます、そんな告知を自分のクリニックのSNSに書いた。コロナウイルスは接触でうつるからだ。

さっそくいただいた批判が、「自分の身が大事?関わりたくないですね!笑」というものだ。なんだ「笑」って。

医療者が感染すると一気に患者さんにうつしてしまう。僕自身が無症状で感染している可能性だって皆無とは言えない。

そんななか、接触を避けるというのは理にかなっていると思うが、批判の矢は思わぬところから飛んでくる。

 

「To avoid criticism, say nothing, do nothing, be nothing./批判されたくなきゃ、何も言うな、何もするな、何者にもなるな」(エルバート・ハバート)

まあ何か言えば批判されるし、何かすれば批判されるし、何者かになろうとすれば批判されるというものだ。

 

だからこの地上には流行り歌があり、ジョークがある。

南米の民がコカの葉を噛みながら労苦に耐えるように、僕らは流行り歌やジョークを口にして右往左往し行ったり来たりしながら前に進んでいく。

〈闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう〉とか〈荒野を走れ どこまでも 冗談をとばしながらも〉とか 〈温泉でも行こうなんて いつも話してる〉とかと口ずさみながら、今日もまた、それぞれの場所でそれぞれ頑張るしかない。愛と誠をもといとたてつ。

(『カエル先生・高橋宏和ブログ 2020年2月29日https://www.hirokatz.jp/entry/2020/02/29/081655 を加筆修正)