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飲み会はポットラックパーティーでありサッカーである。

高橋宏和(H4卒)
date:2026/6/15

 


photoACより



唐突だが、飲み会はポットラックパーティーでありサッカーである。


ポットラックパーティーでは、みなで簡単な料理を持ち寄りシェアして食べる。

同じように、飲み会では各自が話題を持ち寄りシェアして楽しく過ごす。

だから飲み会は、話題のポットラックパーティーなのではないか。

そしてまた、飲み会とは話題のサッカーでもある。

誰かがフィールドに蹴り出した話題を誰かがキャッチし、しばし自分で転がしたあと別の人にパスする。そしてその人もまた、しばらく自分でドリブルしたあと他の人にパスする。

さて、楽しくない飲み会というのはどのようなものだろうか。

話題のポットラックパーティーである飲み会で、誰も話題を持ってこない。

話題が無いからしーんとしている。

沈黙に耐えかねた者がしびれを切らして無理やり話題を提示する。誰が一番早く沈黙に耐えられなくなるかを競う、沈黙のチキンレース。

上っ面の会話が何ターンか続く。

そして沈黙。

実は、誰も話題を持ち寄らない地獄の飲み会を回避する方法がある。

ええとこの店を使うのだ。

ええとこの店の価値は実はそこにある。

料理も酒もそりゃあ良いだろうし、お値段も良いだろう。

だがしかし、ええとこの店というのは、料理や酒だけではなく話題もサーブしてくれるのだ。

寿司屋の大将、和食の板前、フレンチやイタリアンのギャルソン、ボーイは、地獄の沈黙飲み会にそれとなく話題を提供してくれる。

「この魚はね、どこどこで獲れたやつで」「この時期美味しいものは」「◯◯という野菜を××したもので」などなど、などなど。

沈黙の飲み会に時折り投げ込まれる救命浮き輪。

これでしばらくはしのげる。

沈黙のチキンレースに限界だった参加者は、人知れずほっと胸を撫で下ろす。

では、盛り上がる飲み会とは何か。

話題というボールが参加者の間でうまい具合に回る飲み会だ。

参加者は話題というボールがパスされたらしばらくの間ドリブルし、また誰かにパスする。

もし「ウケる」というゴールへの軌道が見えたら、自分でゴールしてもよい。

あるいはパスカットしたり話題というボールを奪いに行ってゴールを決めてもよい。あまりおすすめはしないが。

よくないのは延々と一人で話題というボールをドリブルすることだ。

いわゆる「自分のことばかり話してオチがない」というヤツ。

延々と一人でドリブルするならオチというゴールを決めてくれ。

そうでなければ程良きところで他のメンバーにパスを回してくれ。そうトルシエも言ってた。

しかしもっと悪いのは、話題というボールを飲み込んじゃうヤツ。これは困る。

「この間、仕事で札幌に行きましてね。Aさんは札幌行ったことあります?」(話題というボールのパス)

「無いです」(以後、沈黙)

「最近サブスクでハマってるドラマがあるんですよ。Aさんは何か観てます?」(話題というボールのパス)

「観てないです」(以後、沈黙)

「夏休み、どこか旅行に行きたいなーと思いましてね。Aさんのおすすめの旅行先とかあります?」(必死のパス)

「特に」(以後、沈黙)

なぜあなたはそこでボールを止めるのか。どんな話題も飲み込んでしまう、話題のブラックホール。

ネタが無いならせめて「札幌行ったことないけど、Bさんはどうですか?」とかパスを出してくれ。ぼくは沈黙が怖いんだ。

飲み会や会話のパス回し、一人一人のドリブル時間の長さは関東と関西で違う。

関東では小刻みにパスを回すしボールを奪いにくるが、関西では一人あたりのドリブル時間が長くボールのキープ時間が長い。自分でドリブルしてオチというゴールまで決めにいく。

それを知らずに関西で関東のサッカーをやると大変だ。

「この間、心斎橋行きのキップ買って」(ドリブル開始、華麗なゴール決めたるで)

「あーそうなんだー。どこ行ったの?」

「アメ村までちょっと行って」

「あーアメ村有名だよね。どこかおすすめの店ある?」

「まあそれはええねんけど、オバハンが割り込んできて」

「おばさんってそういうとこあるよね。おれも昔さあ」

「聞いて聞いて。ほんでそのオバハンがワイの足踏んでてん」

「あーわかるー。オレも前さあ」

「痛い痛いいうたら」

「足踏まれると痛いよねー。そういえばこの間さあ」

「そしたらオバハンが振り返って」

「足、大丈夫?もう痛くない?」

「そしたらオバハンが振り返って『兄ちゃん 毛ー長いから女の子かと思ったやんか もーよー言わんわ』ゆうて」

「え、大丈夫だよ!ミヤウチくん全然女の子に見えないって」

「いちいち割り込んでくんなや!最後まで話させろや!」

こうやって話題のサッカーに失敗して大阪湾に沈められた関東人は何人もいるから、飲み会や会話では気をつけたいものである。

『カエル先生・髙橋宏和ブログ』2026年6月11日を加筆修正)