HCD対談会レポ「麻布という不治の病」
『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』
トップエリートと言われる人たちが通ってきている塾というのはものすごく少数の塾を通ってきていて、そこに日本の頭脳が集中してしまっている、その構造自体が歪じゃないのかという意識で書いた本だそうです。
おおた「受験だとか進学だとかそういった本をたくさん書いておりますが、麻布卒の皆さんなら分かっていただけると思いますが、決して東大一辺倒とかそういうことを書いているのではなくて、むしろそうじゃない部分、様々な問題意識を持ち、書かせていただいています。教育のあるべき姿、いい学校ってなんなんだろう、そんなことをテーマに書いています」と語る。先日発売の『ルポ東大女子』に続き、4/13発売の書籍についても言及。
『地方公立名門校 』(朝日新書)という本について語る。
*中庭の桜は少し葉桜となり始めていたが、ホーム・カミング・デイに花を添えてくれた。
「塾歴社会」が首都圏、特に東京においての限られた文化であり、世の中一般的には東大進学者数など週刊誌などで取り上げられ、東京の私学が強いので、私学優勢なんて言われているが、地方に行くと地方の公立高校が頑張っている現状を語るおおた氏。地方の名門と言われる公立高校に取材に行くと、どこか麻布だったり灘だったりに行った時と共通する空気を感じることができて、私立や公立を超えた名門校としての条件があるのではないかと思い、全国の名門と言われる公立高校を取材したものだそうです。
おおた「この本を読んでいただくことで、東京の私学の立ち位置も見えてくると思います」と語る。そしてその発売前の本の中の資料を特別に紹介し、東京大学はやはり東京にある総合大学として、全国区からすると東大だけで語るとフェアではないという考え方から、東大、京大、そして昨今人気の国公立大学の医学部など偏差値的に遜色のないその3つを合計した数値から大学通信さんにお願いして作った表だそうです。
2013年から2017年の5年間の平均でランキングにしたもので、1位開成、2位灘。そして、3位愛知の東海は国公立医学部がものすごく多いと語る。4位京都の洛南、5位奈良の東大寺、6位新しい学校で奈良の西大和学園、7位兵庫の甲陽学院、そして8位に我らが麻布高校と表を説明していく。
17位愛知の旭丘高校についてはおおた氏によると、制服がない学校で麻布にどこか似ているそうで、麻布が学園紛争で生徒側が勝ったという数少ない学校として卒業生の皆様にも知られていますが、この愛知の旭丘高校も同じなんだそうです。この表は2017年までの数字ですが、2018年に東大合格者数ベスト10に入った日比谷高校を例に、今回まとめた方式ではこの表では35位となるなど、おおた氏独自の分析を紹介する。