HCD対談会レポ「麻布という不治の病」
「麻布という不治の病」のお話。毎日が革命！？
中田 それでは次のテーマに。今回の対談のタイトルでもあります、麻布という病。それじゃあ軽すぎると不治の病と校長先生から言われました、このあたりをお願いします
おおた 不治のって挿入していただいた意図、インパクトが弱いと先ほど怒られましたが（笑）、そのあたりの意図を思いを教えてください
平 そうですね、病っていうのは突き詰めることなんだと思うんですね。麻布の生徒は、何かを。もちろん勉学だったりいろいろな遊びでもあると思うんですよね。あるいはクラブに入っていたらスポーツ、女の子と遊び歩くなどかもしれませんが、そういうある意味、マニアっていうか、集中して取り組めるという雰囲気が学校の中にある。それは何かと言うと創業者からずっと引き継がれている自由闊達、自主自立のそういう自由な雰囲気がこの病の元になっているんだと感じました
おおた なるほど、マニアですね。そう言いますとやはり開成や灘なんかも、先ほど挙げた5校なんかも共通したマニアックな感じはあるかなぁと思いますね。僕が思う麻布生の一つ象徴的な症状はですね、母校自慢が始まると非常に止まらなくなる、というのがあって、あれは非常に迷惑がられますね（笑）。なんか麻布生って楽しくていいんだけどさぁ、麻布の話をし始めるとずーっと話しているよね、なんてよく指摘されることがあります（笑）
平 おおたさんが、書いていた文章の中に、麻布を一言で言うと、毎日が革命っていうのがありますよね。毎日何が起こるかわからない。私も校長をしていて毎日次何が起こるか戦々恐々として来てますよ
観客（笑）
おおた 毎日が革命と書いたのは、男子御三家の本を書くときに、それぞれの学校を何か一言で言い表せないかと考えたときに、開成は毎日が運動会、これ本当にそうなんですよ。僕らから言うと信じられないかもしれないですが、開成の生徒たちは本当に毎日運動会の準備をしていて、しかも春ぐらいになると部活を中止して、毎日放課後、棒倒しとか俵引きの練習をして、全部動画に撮って、ここの動きがどうのこうのってやってるんです。全部指示して本気ですよ。運動会の当日大体母の日あたりにやるんですが、負けると土下座ですよ。ポロポロ泣いてまるで部活の引退試合のような。それに比べて、麻布や武蔵運動会のゆるいことゆるいこと
平 まぁいろんな症状はあるね
おおた あ、ごめんなさい、今発言が途中になってました。開成が毎日は運動会に対して、麻布は毎日が革命。それは学園紛争のことなんかもそうですし、常に批判的に、現状に対する疑暗的というか疑ってかかる感じですね。それに対して、武蔵は毎日がお散歩です（笑）
観客（笑）
おおた 本当にのどかなんですよ、武蔵は
平 病はいろいろな症状があると思うんですが、やっぱり麻布については文化祭とかゆるい運動会見て、自分に合ってるんじゃないかって思いますよね。文化祭ではステージを見たり、真面目なクラブの展示を見たりして入りたいと思ったり。学園説明会で図書館を見てこの本全部読破したいなんて感じの子がいらっしゃいますね
おおた 武蔵で生徒さんに聞いた面白い話なんですが、開成の運動会に行ってこれは無理だと思いました、これはやっていけないと。麻布の文化祭に行くとこれは無理だと思い、武蔵に来ました（笑）
観客（笑）
平 私、中1の最初の一学期に各クラスを回って道徳の時間に、創立者の江原素六先生の話をするんですが、麻布に入ってどうだった？と聞くと、想像以上に自由だと答えるんですね。こんなに自由だとは思わなかったと。そこで最初の急性中毒にかかるんですね。今まで家では勉強しなさいと言われてきたのに、今では授業の合間にコンビニでラーメン買って食べちゃうとか、上級生は人間じゃないような異様な姿をしている
観客（笑）
平 そういうのを見ると13歳の子にはあまりにも強い刺激かなぁと
おおた 1回急性中毒になってそこからどう這い上がっていくか（笑）。大体6年間かけて間に合わなかった、みたいな（笑）。回復しなかったみたいな
平 皆さんのように慢性で残るわけで、非常に感染力の強い病だと思います。しかも罹患することに喜ぶという（笑）
おおた またそれも鬱陶しですね（笑）。うちの学校自由だったよという話になると必ずこうやって（上から越えるジェスチャー）勝ちに行くじゃないですか。ちょっと真面目な話をすると、先ほども言いましたが、俺らこんなにいい学校だった自由だったとだけ言うのではなくて、これって世の中でもできるはずだよね、と広めていくことが僕らの役割なんじゃないかと感じますね
